恋色カフェ

回顧



■□■□■□■



「……え……っ」



びっくり、した。


いつもと違う光景に、入口で足が止まる。



外は朝から気持ちのいい風が吹いていた。事務所に行ったらまず窓を開けよう、この気持ちのいい風をあの部屋にも入れたい、そう思っていたのに。

そんなの、全部吹き飛んでしまった。



「寝て……る」


近づけば、小さな寝息が聞こえる。

あーあ、こんなに散らかしちゃって。スタッフが既に何人か出勤していたけど、誰も起こさず、この人も気づかなかったんだろうか。


──でも。

このまま、見つめていたい、なんて。


私はいつかの、部屋のソファーで眠る彼の姿を思い出していた。


< 356 / 575 >

この作品をシェア

pagetop