恋色カフェ




「お待たせ致しました」


目の前に、出来立てのベーグルサンドが置かれる。パンチェッタとルッコラ。迷ったものの、あの時と同じ物にしてしまった。


窓の外には、点々と明かりの点いているオフィスビルが見える。そこは、数か月前まで足繁く通っていた、場所。

ここに来たのは、あの日──店長と再会した日以来、だ。たった数ヶ月前の出来事な筈なのに、何だか遠い昔のようにも感じる。



ここは、全ての始まりの場所──。


そう頭に浮かんだものの、違うな、と心の中で否定した。だって、まだちゃんと始まってない。始めてない。

……少なくとも、自分の中では。



ベーグルを手に取り、かじりつこうとしたその時。

私はまたこの場所で、思いがけない人と再会することになった────。



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