あなたを愛した(完)
SS六花鬼
 二ヶ月前、初めての友達ができた。



名前は和人(かずと)。彼はあたしより二つも年上で、いつもあたしを守ってくれてる。



 せやけど最近、なんか和人の様子がおかしい。ちょっとしんどそうっていうか、気だるそうっていうか、元気がないみたいで表情も暗い。



「なあ和人、あたしサクラが見たい」



和人の元気な顔見たいから、あたしはサクラ見よて言うた。



綺麗な花見たら和人も少しは元気になってくれるかもしれへんから。



そう思ったのに和人は、なんや浮かない顔っていうやつ? して、こう言うた。




「俺……外は暑いから行きたくない。ごめん、紗江(さえ)」



なんで? 春やのに。



「暑いやのうて、あったかいの間違いちゃう? 今春やで?」



「……あぁ、うん。そうだね。暖かいから」



苦笑いっていうよりも、無理して作り笑いしてる感じがあたしの心になんかを突きたてた。



「まだあったかい内やし暑くもないから行こや! サクラ綺麗に咲いてんで」



「……そう、だね。うん。行こう……」



あたしは和人が、綺麗なサクラ見たら元気になってくれるって信じてた。



――まだ、こんときは。







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