つないだ小指
誰にも会いたくなかったので、いつもより1時間早く出勤した。

守衛さんが、今日は早いですね。と言って、

一呼吸おいて、

この度はおめでとうございますとにっこり笑った。

ありがとうございます。と返しながら、

今日はこの繰り返しになるだろうと予測できた。

免疫をつけてくれた守衛さんに感謝だ。

ラボには、すでに春日が来ていた。

「おはようございます室長早いですね。

「そっちこそ早いじゃん。休み明けは指示書多いから覚悟しとけよ。」


「え、まさか休み室長それ作ってたんですか。」


「誰もいないから、ため口でいいよ。」


「仕事してたの?」



「まあな、暇だったし。」


「もしかして、ここに泊まったりした?」


「鋭いなお前、正解ちょっと仮眠させろ皆来たら起こして。」

ちょっと春日、何膝枕させてんのよ。頭どかしてあわてて立ち上がった。

ゴチっと椅子に頭が落ちて、


「いって-な、いいだろ減るもんじゃないし、」

「減ります!!」


何考えてるのよ郁人のこと知ってるくせに。そういえば郁人が前に言ってた



『春日は、菜々美が好き何だよ。』



いやいや、それは違うでしょ、ふと浮かんだ思いをあわてて打ち消した。





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