君と僕と。
君との時間。



――パシャッ



夏の陽射しを受けてすくすくと育つ野菜たちに青年は水をかける。

丹念に育てた野菜たちの姿を花壇の外から優しい眼差しで見つめていた。



「うぉーい。蛍詩(ケイシ)、キュウリできとるかー?」


木造の平屋の中からおやじの様な喋り方をする少女が青年の背中に声をかけた。


「父親名前で呼ぶやつなんてお前くらいやで」


縁側に腰をかけ靴を履くおかっぱ頭の少女に、蛍詩と呼ばれた青年は静かにかつ優しく微笑んだ。


「へへっ!今さらおとん呼ばれてもしっくりけーへんやろ?」


「ん?うん」


靴を履き終えた少女は蛍詩の背に飛びついた。


「なあなあ、キュウリは!?」


「そんなに急かさんともちゃんとできとるよ」


背中でぴょんぴょん跳ねる少女に、蛍詩は花壇から食べ頃であろうキュウリを一本後ろ手で渡した。





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