君と僕と。





「…泣くこと……あらへんよ」




「……?」




希理の小さな手が子供をあやすように震える蛍詩の背中を優しく擦った。




「後1日もあるんやろ?」



『後1日も』




娘の言葉に蛍詩は目を見開いた。





「ラッキーやん。後1回、一緒にご飯食べて、一緒に風呂入って、一緒に寝て。なんてことない平和な桜咲家の生活を送れるんやで?」



希理は蛍詩の腕から抜け出し、震える声で続けた。




「それってめっちゃ幸せやん?」



目いっぱいに涙を溜めて、満面の笑顔を見せた。





「……希理は…俺よりずっと強いな…」




「蛍詩がへぼいだけや」



いたずらめいた笑顔で希理は蛍詩の胸に飛び込んだ。



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