定義はいらない
親友の遥に彼氏ができた時と

私が亮ちゃんの付き合いだしたのは

ほぼ同時期だった。


たった半年間で私たちの人生は180度変わった。



「足下ぁ~。とうとう私たちの中で既婚者現るだね。」

千香が枝豆を摘まみながら言う。

本当は一番結婚願望が強かったから、内心穏やかではないはず。



「まさか、遥が一番最初だと思わなかったよ。」

そう言って麻衣子が出し巻き卵を箸でとった。

おそらく麻衣子も悔しがっていると思う。

私たちの中で一番乗りは麻衣子が有力候補だった。

最近は彼氏とうまくいってないらしく破局秒読みとなっている。



「私も自分は晩婚だと思ってたんだけど。」

はにかみながら遥が言った。

三人のそれぞれの思いには気づいていないようだ。




かく言う私は冷静を装っていた。

もちろん、心臓は大量の汗をかいていた。

「寂しい」

突如として、感情の津波が私の身体をさらった。
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