定義はいらない
「なに?」

「何でもない。」

「じゃあ切るよ。」

「うん。おやすみ。」


私は友達の誰にも不倫していることは言えなかった。



それはまるで、

それはまるで深い森の中をコンパスなしで彷徨うようだった。



友達たちはみんな

自分の行く先の道をしっかり見極めていて

私だけ別方向に進んで気付けば森の中にいて

道標も方向も全てを失いかけていた。



遥に言うことは考えられなかった。

これから結婚する遥に

「新婚4ヶ月の男と不倫しているの。」

なんて、どうして言えようか。



毎晩、太朗ちゃんが奥さんを隣にして寝ているのかと思ったら

なぜ私だけがこんな孤独を抱えなければならないのかと思い

眠れなくなった。
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