俺様王子にご注意を

「うん...ばいばい。」

私はすぐ電話を切った。
頭がついていかない。
どういうことなの?

何で?

「...玲奈、どした?」

髪が濡れて短パンとTシャツを
着て頬が少し赤くなっている
和也がいた。

「...何って?」

「いや...携帯持って怖い顔してるから
何かトラブルでもあったわけ?」

「別に。」

「隠し事はなしにしよーぜ。
ほら、何でも言えよ。」

何よ。ソレ。

「...じゃあ、和也は私に何か隠している
ことってないの?」

「えっ!?」

何でそんなに驚くのよ。

「私に言ってない事...ない?」

「言って...ないこと?」

何でとぼけたふりするの?

「嘘...ついたりしてないの?」

今ならまだ間に合う。
聞かなかったことにするから...
和也の口からちゃんと聞かせてよ。

そして...行かないって。
ずっと一緒にいてくれるって。
そんな話嘘だよって笑って言ってよ。

「何もねえけど?」

何で...?和也の...

「本当に何もない?」

「...ああ。」

嘘つき。

それから...しばらく私たちの空気に
沈黙があった。
でもその沈黙をやぶったのは
やっぱり和也だった。

「なあ、ほんとに何かあったわけ?」

それは、言いたくないよ。
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