シュウ教授の怪しい研究室
実験3

理想と現実


キンッと金属音


慣れた手つきでジッポーに火を灯して、煙草に火をつける



店内の窓から見える東京の景色を教授は遠い目で眺めていた



一流ブランドの特注グレースーツを着て


ワインレッドのネクタイ


黒縁眼鏡は出来る男必須アイテム、ノンフレーム眼鏡に変わっている



普段はボサボサ頭の髪型を今回ばかりはワックスを使って綺麗にまとめていた



その姿はまるで一流企業に勤めるめちゃくちゃイケてるサラリーマンか、やり手のIT会社社長か


はたまた良く言えば
一流モデルや俳優のような容姿をしている




まぁ簡単にいえば


いつもの教授とは明らかに違う姿だったのだ






「――愁さん」


店の一角にある喫煙スペースにいる教授に声をかけた、着物姿の年配女性


鮮やかな着物柄と気品漂うその姿はどこからどう見ても

激安スーパーのチラシ特売品を目当てにチャリで激走するおばちゃんイメージとはかけ離れていた




「ここはいつ来ても忙しい場所やなぁ」


そう京都弁で話しながら教授の横に並び
煙管(キセル)を取り出し、きざみ煙草に火をつけた



「相変わらず煙管で吸ってるんですね、母さんは」
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