赤い狼 四





「おいっ!これで何回目だと思ってんだ!」



「さぁ?」




四回目と思われる髪の毛グシャグシャ攻撃はさすがに我慢できなかったらしい奏が、走って逃げる俺を追い掛けてくる。




おぉお。怖ぇーたらありゃしねぇ。

般若だ。般若がここに居る。




待て、という罵声を後ろから浴びながらギャハハ、と笑う。



ったく。どいつもこいつもよー、くよくよしがやって。楽しくねぇな。面白みがねぇじゃねぇかよ。



連や奏は別として、棗。



稚春ちゃんが好きならもっとガツガツいきやがれ。


余裕かましてる間に横から取られるぞ。



隼人も。



妃菜ちゃんと稚春ちゃん、どっちが好きなんだかハッキリしやがれ。

俺は特定の女は作らねぇが、本命を何人も作る奴は嫌いだ。




まぁ隼人は今、迷ってる途中なんだろーけどよ。



今現在、稚春ちゃんが不安定だぞー、きっと。

お前がフラフラしてっから。




チッ、と舌打ちを溢す。




馬鹿な奴等だ。本当によ~。



妃菜ちゃん探しなんてしてる場合かよ。いけ好かねぇ。




風が髪を舞い上げる。


風が冷たくて気持ちいい。



そういやぁ、もうすぐ冬休みか。《SINE》の皆で小旅行にでも行こうじゃねぇか。




俺は寒空の下、走りながら呑気にそんな事を考えていた。





銀side~end~





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