赤い狼 四





「着いたぞ、稚春。」



「はーい。」




どうぞ、とわざわざ助手席側のドアを開けて手を差しのべてくる朋さんに間延びた返事を送る。



あー、もう。本当に女に慣れてるな~。



当たり前か、と朋さんに少しだけ冷たい視線を送りながら朋さんの手をとる。




「あれ。今日は《RABBIT》なんだ。」



「まぁ、ここが本拠地だしな。」



「そうだったっけ。」




最初に連れていかれた所が強く印象に残ってるから、こっちの方が私的には第二の《VENUS》の溜まり場って感じがするんだけど。


……まぁ、あんな遠い所じゃ行き来するのにも大変そうだし、やっぱり《RABBIT》が本拠地になるんだろうな。



っていうか、《VENUS》に何個も溜まり場があるって事は《SINE》にも何個かあるのかな。


私はまだ聞いた事も、見た事もないんだけど。



……ま、あの情報通な実と香に聞けばすぐに分かる事だし今はいいや。




本当に私、《SINE》の事について何も知らないな~。最近、少しだけ興味沸いてきたし、調べてみるのもいいかもしれない。


これをきっかけに《SINE》の事を詳しく知っていこうと思いながら、朋さんに手を引かれて《RABBIT》まで歩く。




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