赤い狼 四





慶吾が切なそうに笑う。



それを見て私も胸が締め付けられた。




「じゃあまた今度、言える日が来たら。」



「あぁ。」




ちゃんと笑えていたか分からないけど笑うと慶吾が笑い返してくれた。



それはとても穏やかだった。






「ねぇ。私ハンバーグ食べたい。」



「優吾が全部食べた。」



「慶吾も二個食べただろ!」



「優吾が全部食べた。」



「同じこと言い返してきてんじゃねぇ!」







慶吾が私と居て癒されるなら。穏やかな気持ちになれるなら。


私は黙って隣に居てあげよう。




優吾が苦しくなって、人の温もりが欲しくなった時は。


私が強く手を握りしめて「大丈夫だよ。」と優しく声をかけてあげよう。





二人が聞いてほしいと願えば。




拒絶せずに全てを受け入れてあげよう。





今はまだ、何も言わずに。



今はまだ、何も聞かずに。




この時間を楽しもう。





仲良く言い合いをするオレンジなふたりを見て、私はそう、強く思った。





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