死せる朝日の会
「いやいや、これが意外と軽いんだな。 持ってみなよ。」
ユリスは言い終わると、あろうことか坪を俺に向かって放り投げたのだ。俺は慌てながらもとっさに受け止める。 ユリスの言う通り、それは見た目からの印象とは異なり、異様なまでに軽かった。
「確かに。これ何に使うんだ?」
人間の背丈より大きいが、軽さ故にずいぶんと脆そうなその坪は、例えば満タンに水を入れたなら、それだけで容易く壊れてしまいそうだ。
「これはね、占いに使うんだ。 前日になってもミサイルを見つけられない場合にのみ使う裏技なのよ。 まあ、なんだかんだ言っても、ほとんどがこれに頼るパターンなんだけどね。」
占い? そんなもんに頼るほどアテが無いのかよ。
「うわっ! 何? その顔は? あきらかに私を馬鹿にしてるよね? 少しは信じなさいよね。」
俺がよっぽど不審な顔をしていたらしく、ユリスがからんでくる。
「いやいや… 、占いね。 もちろん信じてるよ。」
なんとなくわかった事だけど、ユリスは接しやすいキャラクターの割に冗談が通じない。 面倒な事になる前に話題を変えよう。
「そういえば… 」
「話を変えるな。 無理だから。ね。」
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