死せる朝日の会
俺の提案がそんなに意外だったのか、妙は黙って俺を見ていた。しばらくしてから、妙な笑みを浮かべて。
「それってデートのお誘いかしら? さては最近やけに可愛くなったと噂の私が気になっちゃったのかな?」
そう言いながら、右手の人差し指で俺の肩をつついてきた。「どこで噂になってるんだよ? 行かないなら俺一人で行くぞ。」
妙にからかわれた俺は、照れ隠しに頭をかきながら、学校とは逆のほうに歩き始めた。
「待ってよ。私も行くからさ。仕方ないからデートしてあげるよ」
そんなんじゃない。と、言い返そうかと思ったが、なんとなく妙の笑顔を見ているうちにデートも悪くないと思い。
「そりゃ嬉しいね。噂の可愛い女の子はどこに行きたいんかな?」
と、話に乗ってみる事にした。
「素直でよろしい。んじゃ早速帰って着替えようよ、制服のままじゃ面倒だしさ。私ね、見たい映画があるんだ。あと駅前の新しいパスタ屋にも行きたい。」
無邪気にはしゃぐ妙を見ていると、自分まで幸せな気分になってくる。
「あのさ。 パスタ屋はともかく、見たい映画ってどんな映画?」
俺はちょっとだけ嫌な予感がしていた。 満面の笑みで振り返った妙は、高らかにVサインをしながら。
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