貴方の愛に捕らわれて
『授業を受けているうちに、体調が悪くなって早退したんです。
家に帰ると誰もいなくて、それでホテルで休む事にしたんです』
「は?何でホテル!?」
龍二さんが素っ頓狂な声をあげる。
そうだよね。普通は家で休むよね……。
「香織、分かるように話してくれないか?」
私を包む腕が少しだけ強まる。
それはまるで「大丈夫」と無言で告げられているようだった。
『少し、話しが長くなりますが、いいですか?』
「ああ」
耳元で囁かれた返事はとても穏やかで、私は覚悟を決めて自分の生い立ちを話すことにした。