貴方の愛に捕らわれて

「あんまり浮かれて構い過ぎると、小鳥が愛想を尽かせて逃げますよ」



そんな事あるかと思いながらも、女タラシの龍二の忠告を聞き流す事も出来ず、不機嫌に舌打ちで返して、二人にこれからの事を指示した。



「智也、香織の風邪が治ったら、香織の荷物をここへ運ぶように手配しておけ」



「はい。荷物はどこから運ぶんですか?」



困惑気味に智也が聞き返す。



俺は、二人に向かって自分の考えを告げた。




「香織をあの家へ帰すつもりはない。


金輪際、あの母親とも関わらせるつもりもない。


これからアイツの面倒は俺が見る。


運び込む荷物は、換えがきかない必要最低限のものだけでいい。


それ意外の物は全て新しく買い揃える」


俺がそう言い終わると、さっきまでニヤケていた龍二が、俺の目を真っ直ぐ見据えて聞いてくる。



 
< 129 / 507 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop