貴方の愛に捕らわれて

猛さんの告白に胸が締め付けられるように切なくなって、無意識のうちにお腹にまわされた腕を、ギュッと掴んでいた。




私の心に重くのしかかっていた不安が、猛さんの言葉によって全て消えて行く。



まだ頭の片隅では、『何で私なんだろう』って思う気持ちがあったけど、さっきまでの胸を押し潰すような重苦しさは、今はもうない。




「香織、まだ不安か?お前の不安が消えるなら、何でもしてやる。どうして欲しい?」




―――あぁ、もう。どうして猛さんはこんなにも優しいのだろう。



よく分からない感情で胸が一杯になって、うまく言葉が出てこない。



だから私は、ただフルフルと首を横に振って思いを伝えた。


 
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