貴方の愛に捕らわれて
 

あまりにも突然な香織の行動に、暫し言葉を失う。



『正直言って怖いです。猛さんがいなくなるなんて……堪えられない。


友達なんて要らないっ、他の誰が犠牲になったってかまわない!


ごめんなさい…私、何にも知らなくて、迷惑ばかりかけて……

お願いですから捨てないで』



嗚咽を堪え、絞り出すように言葉を紡ぎながら、震える身体が必死にしがみついてくる。



「まだそんな事を言いやがって。何があっても、絶対に離してなどやらん!


だから香織、覚悟を決めろ」



『はい。何があっても離れません。一生側に置いて下さい』




涙に濡れた頬を上向け、震える唇を貪るように塞いだ所で、車はマンションの地下駐車場に滑り込んだ。



 

< 307 / 507 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop