貴方の愛に捕らわれて

ガンガン痛む頭で、何とかそれだけを終わらせた。



後は、買ったばかりの風邪薬を飲んで、着替えもせずにベッドに潜り込んだ。






……~~♪…~~♪…………♪~……





朦朧とする意識の中、何処からか音楽が聞こえる。



あ…れ……?もしかして、私の携帯が鳴ってる?



自分の携帯が鳴ることなんて、めったにないから珍しい。



携帯は何度も鳴っては切れを繰り返しているけど、寝返りはおろか、指一本でも動かすのが億劫な私は、鳴り続ける携帯を無視した。




暫くの間、携帯は鳴り続けていたが、やがて静かになった。





それからどれくらい経ったのか……



苦しい息をもらしながら、寒気で震えの止まらない体をギュッと縮めて布団にくるまっていると、不意に廊下が騒がしくなった。




騒がしい音は段々と近づいてきて、どこかの部屋のドアがドンドンと激しく叩かれている。



『うるさいなぁ…』



朦朧とする頭でそう思った時、ドアがバタンと開く派手な音とともに、ドカドカと数人の足音が聞こえ、誰かが部屋に入って来た。



 
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