無限の空のように
高校生活
わたしの想い
「梨絵、梨絵っ!!」
「な〜に?瑠維。」
「ちょっと早くこっち来てよ!」
「あと少し待って…。あと5分でこの問題が解け…」
「そんなの問題、どうだっていいから!早く、早く!」
「ちょっ、ちょっと…」
放課後、教室で次の日の予習をするわたしは瑠維に制服の袖を引かれ、半ば強引に窓際に連れてこられた。
「どうしたのよ急に…」
「どうしたもこうしたもないわよ〜。ほら、あそこ見て。」
そう言いながら瑠維が指差したのは、学校の前で話している男子生徒。
「…あの人たちがどうかしたの?学校前なのにうちの生徒じゃない人もいるみたいだけど…」
「はぁ〜?あんたバカ?あそこにいる人見えないの?」
「ば、バカって…そんな言い方しなくても良いじゃない。」
瑠維はいつもこんな調子。慣れっこだけど、問題を解いている途中で強引に連れてこられたわたしは少しむっとしながら言い返した。
「あぁ〜、わかったわかった。ごめんね。でもさ、あの赤い服の人見てよ。」
適当な瑠維に少し不満を抱きながらも、瑠維が言う赤い服の人に目やったわたしはその瞬間言葉を失ってしまった。
「あ…」
なんとそこにいたのは些野慶志だった。
「じゃじゃ〜ん!些野くんでした〜!どう?来てよかったでしょ?」
得意気な顔でどう?どう?と訊いてくる。
「…うん…うん!瑠維ありがとうー!ほんとありがとう!瑠維大好き〜!」
さっきの不満など忘れわたしは思いきり瑠維に抱きついた。
「うわっ、ちょっと!やめてよ〜。」
そんなことをしながらわたしたちは高校の半分を過ぎようとしていた。