彼の瞳に捕まりました!


社長の言う、この間とはきっとあの日の事。
社長に今と同じような質問をされて、いないと言った私に、彼は首を傾げたのを覚えている。

「優しさ……とは違います」

「違う?」

「あの時の私は、まだ自分の気持ちに気が付いていませんでした」

そう、だから優しさではない。
でも、気付いていなかっただけで、あの時も高瀬に気持ちが向いていたのは事実なんだけど……

「気が付いてなかった?」

「はい。すみません」

「あぁ、謝らないで。そんなつもりではないから。
そうか、残念だな。僕も優良物件だと思うんだけど」

イタズラな笑みを浮かべ社長は私を見つめると、
「ねえ?」
と、同意を求めてきた。

「えっと……」

「社長夫人に興味ない?」

「えっと……あの……」

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