彼の瞳に捕まりました!
「んで。これは何かな?サトコちゃん」
「書いてあるまんまですけど?」
綺麗に巻かれた髪の毛の先をクルクルと指に巻き付けながら、入社2年目のサトコちゃんが、甘ったるい声をだした。
「うん、だから――――この企画はなんなの?」
「えー?
だから、今までの最低な恋愛話を読者の皆さんに教えてもらうんですよぉ」
「…………」
「他人の不幸は蜜の味っていうかぁ
自分の方がマシかもって思えるっていうかぁ~」
のんびりとした口調で、サトコちゃんはニコニコと微笑みながら話す。
そんな彼女に頭を抱えると、大きくため息をついた。
「あのね、あなたが今まで読んでいたような雑誌を作ってる訳じゃないんだけど……
その辺、ちゃんと理解出来てるかな?」
丸っこい文字で書かれた原稿を思いっきり丸めると、膨れっ面をするサトコちゃんに押し付ける。
「はい、やり直し
て、言うか。根本からだからね。
もう、新人じゃないんだから、いつまでも甘えてないで。
新入社員、来週には配属されてくるよ」
私の言葉に
頬を膨らませていたサトコちゃんは、ぱっと表情を変えて、
「そういえば、見ましたか?麻生(あそう)先輩」
と、ウキウキとした声をあげた。