彼の瞳に捕まりました!
「サトコちゃんの事なんてどうでもいいんだけどさ」
「編集長?」
「気を引き締めなさいよ」
さっきまでの表情を一変させて、編集長は静かな声をだした。
その表情と声音に、思わず息を飲み込む。
「目の前にあるものばかりが正しい訳じゃない」
「正しい……?」
「物書きの端くれなら、裏側も読み取れって言ってんのよ」
呆れたように話す彼女に苦笑いを浮かべると、編集長は盛大なため息をついた。
「とりあえず、あさかわのは、さっさとやっつけちゃって。仕事はまだまだあるんだからね」
スッと立ち上がった編集長は、私の頭をポンッと叩いて、自分のデスクへと戻って行った。
物事の裏側……?
その言葉に、様々な出来事が浮かんで……頭が混乱していた。