ヴァンパイアヒューマン−桜−


『ありがとう、ラッセル…これからもよろしくね…ラッセル…』


ミーナはラッセルの手をぎゅっと握りしめた。


そして、ミーナが握りしめるラッセルの手は次第に冷たくなってゆき、ラッセルは笑顔を残したまま息を引き取った。


『ラッセル!?…返事をしてよ、ラッセル!!ラッセルーーー!!』


ミーナはラッセルの身体を揺すりながら、涙を流しながら大声で叫んだ。


ミーナの叫び声は、静まり返ったラルムブリッジの村中に響き渡り、暗闇の中へと消えて行った。


息を引き取ったラッセルの抜け殻は、自分の使命を全うしたと言う誇りに満ちた顔をしていた。


ミーナが涙という名の水を与えても、ラッセルという名の花はもう一度咲くことはなかったのだった。



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