My Love―お兄ちゃんとどこまでも―
act.2



「ただいまー……」



今日はクリスマスイブ。

仏教徒の私には関係のない日だが、オーナーにプレゼントされたケーキを片手に帰宅。

リビングでは、両親とお兄ちゃんが揃って居た。

3人だけだと母親の若さが引き立つけど、普通の家族だった。

父親は59歳。

母親は38歳。

見ようによっては、お兄ちゃんと母親が夫婦みたいだ。



「おかえり。寒かったでしょ?今ご飯温めるから、早く着替えておいで」



「うん」



部屋へと行き、制服を脱ぎ捨てて着替える。

鞄を開ければ、光希ちゃんから貰った手袋と手紙。

そして、来月に面接を受ける予定をしてる会社のパンフレットを出した。

担任に勧められたのは、まさかの航空会社。

キャビンアテンダントではなく、陸上勤務。

フロントの仕事だった。

英語の成績も悪くなく日常会話は出来る。

そして、今も接客のバイトをしてる事から推された。

採用されれば、寮としてマンションが借りられる。

条件はあまり悪くない。

ただ、ここから車で2時間は掛かって休みも不定休になる為、母親やお兄ちゃんと会えなくなる。

そこだけがネックだった。



「沙亜矢?早くおいで」



「うん」



私はパンフレットを机の引き出しにしまい、リビングへと行く。

そして父親の顔を見ないようにしながら食事をする。
< 15 / 74 >

この作品をシェア

pagetop