My Love―お兄ちゃんとどこまでも―
「後、堕胎した事も知ってる」



「…………」



言えなかった一言。

やっぱり、それも知ってたんだ……。

黙る私の頬を撫でて来るお兄ちゃんに、何と言えば良いのか。



「沙亜矢が決めたんだ。間違ってなかったと思う」



「…………」



「これから俺が守るし、幸せにするから何も心配するな」



「……うんッ……!」



遊園地で泣きたくないのに、涙が少し溢れてしまった。

お兄ちゃんの気持ちだけで、心は軽くなった。

2人で手を繋いで歩き出す。

目指したのは、ジェットコースター。

笑ってはしゃぎたい。

2人で居れる時間は、幻になるかも知れない。

でも、幸せだって思えた事が、本当の幸せで。

積み重ねて行きたい。

夕方になり、そろそろデートも終わりを迎えた。



「……りゅっ、龍児っ!!」



私は車に近付いて行くお兄ちゃんを呼び止めた。

今日は記念日。

一生、忘れないであろう日。



「沙亜矢……」



振り返ったお兄ちゃんにキスをすると、驚きを隠し切れてないのがわかる。



「ありがとう。龍児……」



私だって恥ずかしかったけど。

感謝を伝えたかった。

本当に、ありがとう。





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