My Love―お兄ちゃんとどこまでも―
「ご自分がなさった事をお忘れですか?お話しましょうか、亜矢子の前で」



「……わかった。わかったから言うな……!」



「何よ。沙亜矢に、貴方また何かしたの??」



母親は混乱しながらも、少なからず察しがついてるのかも知れない。

実父は私の顔を見る。

お兄ちゃんの視線も感じた。



「あのね、私……」



だから、話してしまった。

母親の悲鳴に似た声は、父親の怒りを誘う。



「貴様っ!!恩を忘れてふざけんな――ッ!!」



立ち上がり、怒鳴るとキッチンへと向かう。

取り出されたのは、包丁だった。



「親父っ!!」



「藤森さん――ッ!!」



お兄ちゃんと実父の声が重なる。

刃先は私に向けられて居る。

2人は止めようと説得してくれるけど、これは約束だった。

話したら、私から殺すって。



「みんなを刺さない条件で、刺してね」



「止めなさい沙亜矢!」



「そうよっ!;;貴方もお願いだから止めて!!」



何を言われようと、父親は私を刺すだろう。

目を閉じて、恐怖心をなくそうとした。



「―――…っ!!」



でも、簡単にはなくならず、目を開いて逃げた。

しかし左足に、無惨にも包丁は刺さってしまった。





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