My Love―お兄ちゃんとどこまでも―
そんな2人が、また同じ道を歩み出す。

1人で過ごさず、近くに話し相手の居る毎日をまた送り始める。

しかもそれが、私の大好きな両親。

両親がまた一つ屋根の下で家族に戻る。



「……っ、ありがと……」



それは、娘である私には何よりも嬉しかった。

交わる筈のなかった父親と母親の人生が……。

見た事なかったツーショットが、私も見る事が出来るんだ……。



「お礼を言うのは、お母さんたちの方よ。沙亜矢がお父さんに会いに行ってくれたお陰」



「でも……っ、嬉しいから……っ……」



おしぼりで涙を拭い、龍児の腕にしがみつき、肩口に顔を埋めた。

落ち着かないと、母親を見てると涙が止まらない。



「龍児君……」



「はい?」



「結婚はまだ先だろうし、プレッシャー掛けたくないけど、沙亜矢をよろしくね。龍児君なら安心だから」



「うん。今度は亜矢子さんの事、お母さんて呼ぶから」



「……それ止めない?イケメンに名前を呼ばれると、イキイキして若く居られるじゃない」



「「…………;;」」



龍児は貴方を“お母さん”と一度も呼べなかった事を後悔してるのに、何を言い出すんですか;;

さぞかし酔いが回って来たんでしょうか。

お陰で涙は止まったけど……;;





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