ボクは桜、キミは唄う
ピピッピピッピピッ

「柚木君と別れないと、この写真をばらまくって言われて」

「……」

「私、別れないって言ったの。こんな脅しで柚木君と一緒にいることを諦めるなんて絶対やだ」

「……」

「けど、怖いよ……。柚木君……助けて」

メールが来る度にあの気持ち悪い男の顔が頭に浮かぶ。

したなめずりする嫌らしい顔。

「もぉ……やだ」

マネージャーの冷たい視線。

たたき付けられた背中の痛み。

全てが思い出される。

ピピッピピッピピッ。

ピピッピピッピピッ。

ピピッピピッピピッ。

柚木君は

「わかった。俺が絶対守るから」

と言うと、電話を切ってしまった。

何かとても嫌な予感がした。

けど、私の頭ではもう何も考える事ができなくなっていた。

ただ、怖い怖い怖い。

それだけ。

「もぉ……やだ」

ピピッピピッピピッ。

耳を塞いでうずくまって泣いた。


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