ボクは桜、キミは唄う
帰りのホームルームを終えると、北川君はまた

「アーキちーんっ」

って叫びながら隣の教室に行こうとしていた。

なんだか胸が詰まる。

ナカちゃんはそんな北川君の隣をすり抜け、北川君よりも先に教室を飛び出し、廊下を駆けて行く。

北川君はなんで気づかないんだろ?

ナカちゃんは、そんなラブラブな2人を見たくないから避けてるのに。

少しはナカちゃんの気持ちに気づいたっていいはずなのに。

もう少しデリカシーのある行動をとってほしい。

「楓花、帰ろ」

柚木君が鞄を肩にかけて言う。

「うん」


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