海上船内物語

□迷









「・・・・・アキ、!!」


カイルは、やっとのことで辿り着いた、操舵室の壁にはりつく。


「・・・・おい貴様、何故部屋から出てきた」


当の船長は、椅子にどっかりと座り、足を組みながらカイルを見遣った。

その態度に、カイルは憤慨しそうになる。



「何、ふざけたことしてるの・・・・・!こんな海で、船を出す事自体、間違ってる!」

「逆に、こんな海で船を出さないわけが無い」


ぐらり、と船が揺れた。

バランスを崩したカイルが床に座り込む。



「役に立たないんだったら、さっさと部屋に戻って寝てろ。邪魔なだけだ」

「だから、・・・・!!」


アキが、カイルを引っ張り、立たせる。

それにふらつきながらも、カイルはアキを睨み付けた。



「・・・・・貴様、風が読めるんだったな?」

「・・・・はぁ?だってこんな無鉄砲な風、読めるわけ・・・・」


アキはじろりとカイルを見遣り、なにやら考え始めた。





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