海上船内物語

□告











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それから、一ヶ月が経った。


「なんだ、もう動けるようになったんだ」


いつものように朝食を届けに行ったカイルは、ベッドから起き上がっているアキを見て、残念そうに溜め息をついた。


「何だ、その溜め息は」

「だってアキさ、起きてると全然可愛げないもん」


近くの机に、食器を置く。

ちらりと視線をアキに移して、またカイルは溜め息をついた。


「悪かったな、可愛げが無くて」

「いやでも、アキに可愛さがあったら気持ち悪いかも」

「どっちなんだ」


アキは顔をしかめながら、置かれた食器を手に取る。


「ウルが心配してたよ。一ヶ月以上、下に下りてこないなんて、って」

「寝てると言っとけ」

「無理があるって。一ヶ月も眠り続けることになるんだよ?」


その言葉を無視したアキに、カイルはまた溜め息をついて、立ち上がった。


「なぁ、カイル」

「なに?」


振り向いたカイルに、アキは黙り込んだ。


「・・・・・いや、なんでもない」


カイルはおかしそうに首を傾げて、部屋を出て行った。



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