海上船内物語

□襲











□ □ □



その日は、丁度夕暮れ時だった。



「海賊船発見!こちらに迫っているようです!」


和やかな空気が漂う死神船は、一人の見張り役の声で動きが変わった。


「よし!皆準備しろ!乱闘になるぞ!」


ウルは船員に指示を飛ばす。
それに合わせて、船員達は首尾よく準備をした。

船には船長の姿が無かった。


「ウ、ウ、ウル?海賊船が迫ってる?どういうことだ?」


ついでに言えば、ウルの足元で戸惑うカイルだけは和やかだった。


「おう、初めてだもんな。来襲だよ、海賊達の」


ウルは逞しい目でカイルを見下ろした。


「らいしゅう?」

「あぁ。この死神船はな、俗に言う“海賊狩り”だ。政府認定のな。
それで、たまに脳味噌が詰まってない海賊共が、自ら死神船を狙おうとしてるんだよ」

「なんでだ?」

「そりゃあ、俺らのせいで随分のお仲間がお亡くなりだからじゃねーの?」


けろっと笑って答えるウル。
その手には剣が握られていた。


< 27 / 298 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop