アイスフレイム
第一章 旅の始まり


えーっと…。

とりあえず誰か、この状況を説明して欲しい。

まず、俺の居場所。ガタゴト揺れている。電車とか車とかを想像しただろうけど、違うんだなぁ、これが。

なぜかは知らないけど、俺は馬車に乗っている。

そして、俺の服装だ。俺の記憶が正しければ、俺はTシャツにジーパンという格好だったはずなのに…。

何だこの『冒険者です』的な格好はぁぁぁぁ!!しかも、ご丁寧に剣まで腰についてるし、冒険者か俺は!?

しかも周りにいる人…同じ馬車に乗ってる人は皆、俺みたいに『冒険者です』的な格好してるし。

とりあえず、どうしてこうなったのかを考えよう。





夏休みの中ごろの今日、宿題を終えて暇だった俺は、ゲーム屋に行ったんだ。

俺のことをぼっちだとか思った奴は、死刑な。一応ちゃんと友達はいるから。

で、ゲーム屋に入ろうとしたときに、確か見知らぬオッサンに声をかけられたんだ。

「あの、アンケートに答えていただけませんk」

「サギくさいんで嫌です」

「サギじゃないんで待ってください。ゲーム好きな人を対象としたアンケートですから」

この時スルーしなかった俺が馬鹿だった。ゲームって単語につられちまった。

「ゲーム…?」

「はい。最新のRPGゲームのためのアンケートです」

しかも、最新のRPGゲームときた。RPGゲームっつったら俺の大好物じゃねーか。

「そのアンケート、やります」

「わかりました。では、この紙に書いてある質問に答えていってください」

そう言われて、紙とペンを渡された。

どれどれ…?


Q.RPGゲームは好きですか?

好きに決まってんじゃん。じゃなかったらこのアンケートに答えてねぇし。


Q.実際にゲームの世界に入って冒険したいと思ったことはありますか?

もし可能なら今すぐにでも冒険したい。


Q.好きな武器は何ですか?

レイピア。かっこいいし、使いやすそうだから。


Q.名前を5文字以内、カタカナで記入してください。

カオル。


Q.性別を終えてください。

間違われやすいけど女。


これで全部答えたな、っと。

「終わりましたー」

「ありがとうございます。記入ミスは無いですか?」

「はい」

「最後の質問への解答が『女』になっていますが…」

「ああそれ間違ってないです。俺は女なんで」

「えぇっ!?」


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