*あいのうた*

『もしもし…』


ドキマギしながら通話ボタンを押す。


〈俺〉


嗚呼!!
分かってますっと叫びたい!!


『う、うん』

でも出たのはこんな返事。


〈電話してみたー〉


なんだかフワフワした藤堂響の声だった。


『さっさっきはどうも…』


うゎわっあたし、なんで「どうも」とか言ってるんでしょうか??

パニックみたいになって慌て口から出た言葉に自分で心の中で突っ込む。


〈あははーどういたしまして。〉


で?!藤堂はちゃっかり「どういたしまして」だって?!

なんの「どういたしまして」よっ



だ…駄目だ。ドキドキして言葉に出ない。


〈何かさ、あのまま寝ちゃって超寒いから今からもう家帰る。それで俺暫し今日から学校冬眠するから〉


偉そうな王子は単調にちょっと意味不明な事を言った。


『はい?』

〈また電話するバイバイ〉


ツーッ。ツーッ。ツーッ―



ん?


何の用事だったのか…?

呆気なく一方的に通話は切れてしまった。


とりあえず[帰ったんだ]って事だよね?報告?





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