仇恋アベンジャー
滑らかな仕草でジャケットを手に取り、そのまま流れるようにそれを羽織る。
長い髪が動きに合わせて踊る。
そして私の頭上にある母の遺影を眺めていたから、何となく私も立ち上がった。
「線香くらい、上げとくか」
「お願いします」
ライターで蝋燭に火をつけて、場所を恵一に譲る。
彼は箱から二本取り出して火にかざし、粉の中に差し込んだ。
手を合わせて、数秒。
閉じられた目を開いた。
「何を話したんですか?」
「内緒」