仇恋アベンジャー
正直言って、この店は通いにくい。
自宅からも大学からも近くはない。
原チャリに乗って、自宅から20分。
大学からも20分。
それでも母が金と愛情を注いでいたこの男のことを知りたかったから、寒くても原チャリで通い続けた。
きっといつか化けの皮が剥がれるはずだ。
虎視眈々とその時を待ちながら。
しかし、3ヶ月働き続けても恵一が尻尾を出すことはなかった。
穏やかで、真面目で、ぶっきらぼうだけど意外と優しい。
……なんて、危ない危ない。
騙されちゃダメだ。
相手は倹約家の母に散々貢がせる程の男。
私ともあまり話したがらないし、正体を隠すのが上手なだけかもしれないのだ。
何も掴めないままここで働くのは無意味だと考えた私は、何とかもう一歩彼に近付くため、化けの皮を剥がすため、思い切った行動に出た。