ラブラボ! ~恋は華麗な復讐ゲーム~
1.許せない! 最低男は御曹司!?
それは、風香る爽やかな5月のある日のこと。



生まれたときからの幼馴染で、以来21年の付き合いになる大親友の雪美の告白で始まった。



「や、ヤリ逃げっ!?」



学生たちでごった返す聖陽大学のカフェテリアで、あたしは立ち上がって叫んだ。



「ちょっと舞花! 声が大きいったら!」



雪美は、大きな目を真ん丸くして、ぷっくりと愛らしい唇に人差し指を当てる。



「誰かに聞かれたら、どうするのよ!」



「ご、ごめん……」



私は、周りをチラ見しながら椅子に座り直した。



幸い、ランチタイムの学食なんて、人がアリンコみたいに入れ替わり立ち替わりだから、他人の会話まで聞き耳を立てている余裕はあまりない。



とは言え、さすがに派手に立ち上がった私に視線を向ける学生は、チラホラいた。



「ほんとにもう・・・・・・」



私は、雪美の咎めるような視線を避けて、アイスコーヒーを一口含んだ。



「誰が聞いてるかわからないんだから、もうちょっと気を使ってよね」



と、唇をとがらせる雪美に、私は即座に言い返す。



「だったら、こんな人が多いお昼のカフェで、ぶっちゃけないでくれる?」



あたしは、学食パスタをつつくだけで、食べようとしない雪美を横目で見て、小さくため息をついた。
< 1 / 22 >

この作品をシェア

pagetop