嘘つきと王子様
EPISODE2


「で、……多分なんだけどさ


私、小野寺くんに名前すら覚えてもらえてない気がする」



「いやそれはないでしょ。


同じクラスになって三ヶ月だよ?


話したことないの?」


「…ないわ」


「まじか、


……まじか…」



多分私がこのクラスで話したことのある男子って



近くの席の人くらいだ。


それ以外は

雅也とばかり話していたような気がする。


お弁当に入ったタコさんウインナーをフォークをぐさりと指す。



これって、かなり脈なしなんじゃないかな。


「とりあえず、葵!


小野寺くんに顔覚えてもらうことから初めようか。うん。」



「…んなこといったって

関わり皆無なんですけど」



「無いなら作ればいいでしょうが!!

少しは考えろ、このどすっぴん野郎」


「…すみませんねぇどすっぴんで!」



それにしても

本当に今さらどうやって関わり作ればいいの


四月ならまだしも


もう期末試験前の七月なわけで


試験が終われば夏休み。



「伊織さーん!」


深くため息をついたときだった


教室の外から、あいつの声が聞こえてくる。


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