大人恋愛部
「…チーフそんなに睨まないで下さいよぅ。深い意味は無いんですよ?
ただ華を添える要員じゃなくて仕事要員として
チーフを選んだなーって思っただけです。」

鮎川は言うだけ言うとそそくさとデスクから去って行った

くそっ逃げたか…

鮎川の言葉は特に引っかかるものではなかった
別にお茶汲みに行くわけじゃない
接待するわけじゃない

『仕事要員』?最高じゃない


……

…そう思うのに


どうしてか
『華を添える要員じゃなくて』
と言う鮎川の声が耳にこびりついて離れなかった

そして
ふとデスクの隅にある小さな鏡を手にした

そこに映るのはいつもの見慣れた顔

30歳前にして華とは言えないのは十分理解している


…


……理解しているのにこんなにも引っかかるのは何故だろう?


「チーフ般若みたいな顔してどうしたんですか?」

突然
背中から武藤の声がかかって慌てて鏡を閉じた


「般若みたいな顔?
さっきまで鏡見ていたけどそんな顔して無かったじゃない。」


「してますよ。
ほら、今も。眉間にしわが…。」

武藤に指摘されて
慌てて眉間のしわをなでた

この皺を作ってるのはお前らだろ!
という言葉は(余裕ある大人の女性として)胸の中にしまってくことにする




< 44 / 59 >

この作品をシェア

pagetop