Rest of my Prince

　
「それで作詞作曲なんだけど」


遠坂由香は依然三日月目のままで。


「それもいいけれど…時間も無いんだし、ちゃんとぶつけないか?」


「どういうことだ?」


馬鹿蜜柑が首を傾げた。


「あえて…Zodiacの曲に。毎日のように聞かされているんだろ、神崎に。だとしたら…曲を覚えるっていう手間もなくなるわけだし」


再び私達は顔を見合わせて。


確かに…もうイントロの出だしで、口ずさめる気がする。


歌うならば、の話だけれど。


「だけど…ただそれだけじゃ面白くないね」


玲様が微笑んだ。


「あんな程度、コピーくらいなら誰でも出来るよね」


えげつなく――。



「実力の差、見せつけようか。

曲としても――男としてもね」



ああ――


愚かなZodiac。



完璧主義の櫂様と、徹底的にやる玲様と。


そんな彼らを敵に回すなんて。



少しだけ――同情した。