Rest of my Prince
 ???Side
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「どう思う、あいつら」


あたしの横で、5つ目の鯛焼きを齧り付く皇城翠(こうじょうあきら)が聞いてくる。


我が桜華学園の姉妹校である桐夏学園。


そこで開催されている合同学園祭に足を運んだが、翠は桐夏の見物どころか、"カオス鯛焼き"だとかいう…桐夏の人気の鯛焼きに夢中だ。


食べてみたのだが…甘すぎて、どうもあたしの口には合わない。


しかし翠のお気に入りになったらしく、その両手には、溢れんばかりの鯛焼きが詰まった紙袋が大事そうに抱えられている。


「中々にノリノリの芸達者な奴らだな。ああいうノリは好きだ」


少し前の、中庭でのライブを思い出す。


「イイ男達というのは、目の保養になる」


それぞれ美貌の色が違いすぎて、目はちかちかしたけれど。


「俺でさえ鼻血吹いたのに、お前よく平然としているよな」


「そりゃあ長くお前達の下働きしてれば、男の裸くらい見慣れるさ。これも日々勉強の賜物だ。あたしだって成長するんだ」

「そんなもんかな…」


「お前も来年は桜華の高等部。日頃敬愛する、偉大なる"雄黄(ゆうき)様"の弟なんだから、あれくらいの色気を身につけて彼らみたいに他を圧倒させてみろ」


「ええ~、俺無理!!! 俺、花より団子だし」


「諦めるな、チビっ子」


「チビ言うな!!! 去年より5mm伸びたんだ!!」


翠は本当にからかいやすい。


「だけど本当に…あいつらか? 大事故から奇跡の生還を遂げたばかりのお前の兄を、唆(そそのか)して"豹変"させたって奴らは…」


「うーん。そこまで"極悪非道"に見えないんだよな。だけどさ、成り上がりの異端集団である紫堂が、本来足元にも及ばない正統派の皇城にちょっかいをかけてきたこと自体、おかし過ぎる。

魂胆があるに違いない。

事実その直後…誰からも賞賛される崇高なる兄上が、残虐な暴君となり…親父…御前(ごぜん)みたいに権力に走ってしまった。

俺は兄上を変えた"原因"を許したくない。絶対元凶をぶっ潰して、兄上を元に戻してみせる!!」


それは固い決意。

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