Rest of my Prince

├桜Side

 桜Side
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馬鹿蜜柑が、また何か仕出かした。


何だあの伊達眼鏡。


目など悪くないくせして、黒縁眼鏡をかけて…勉強している。


嵐の前兆?


好きなことにはまっしぐらになるくせに、嫌いなことには数分の集中力ももたない馬鹿蜜柑。


その馬鹿蜜柑がずっと勉強し続けている。


「芹霞、大丈夫?」


玲様が、ソファで横たわる芹霞さんに冷たい水を差し出した。


「うう…何で煌に勉強教えるんで、徹夜になるの…あたし…。うう、気持ち悪っ」


ぐったり。


物分りが悪い煌に、勉強など教えた心労はかなりのようだ。


「煌が体力馬鹿だってこと、忘れてたよ……」


ふらふらで…勉強を教える処か、食事も作れない程体力を消耗しきった芹霞さんをおぶり、馬鹿蜜柑がやってきた。


玲様の作った食事をとっている間も、馬鹿蜜柑は問題集に齧りついてシャープペンを走らせる。



「何で…こんな状況になったんだ?」



櫂様の困惑した声。



「何かね…煌がテストで8割以上とったら、あたしは玲くんとじゃなく煌と"おでかけ"なんだって。あたしが9割とっても、優位性は煌にあるらしい」


私は、芹霞さんにぱたぱたと団扇で冷たい風を送りながら、溜息をついた。



「煌が…8割なんて…」



無理。



絶対無理。



行き詰ると、訳の判らない絵を紙一面に描いて、1人笑っているような男だ。


やる気を見せても、脳の作りがそれ用には出来てはいまい。


煌は頭より身体の男だ。


考えるより動くのに適した男だ。


その煌が、あと2日という僅かな時間で微分積分をマスターできるわけがない。

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