Rest of my Prince
 

全員で答案を覗き込む。


赤い文字が上方にある。


『名前は、漢字で書きましょう』



熱でうなされていた芹霞さんは…平仮名で名前を書いたらしく。



『-0.5点』



「悔しい~~ッッッ!!!

数学のテストなのに~~ッッッ!!!」



「ということは…」


私は櫂様と玲様を見た。


「89点以下でもなく、90点以上でもないならば…」



「――…1日だ」



櫂様が大きな溜息をついてそう言った。



「玲との"お試し"…1日だけ認める。

煌――いいな?」



「……。判った」



2人の顔は、不承不承という顔つきだったけれど。



「やった~~ッッ!!!


玲くん、1日だけどやった~~ッッ!!!」


芹霞さんは玲様と手を叩き合って大喜びで。



「本当に…芹霞に弱いよな、俺…」


そう苦笑する櫂様の呟きが哀しげだった。



そうして。


決行日を玲様の意向に任せた芹霞さんは、



「お前…勉強したんだろうが!!!

煌…お前まで!!!」



煌と共に、折角蓄えた微分積分の知識をすっかり忘れて…


「あたし達の記憶は短期集中型なの。長期は無理!!!」


次回のテストはボロボロだったという。




Fin.



< 94 / 235 >

この作品をシェア

pagetop