好きとごめんのその先に


「――それじゃ、今日はこれで終わり。気をつけて帰れよ」



先生が締めくくり、5分遅れでうちもホームルームが終わった。



「ゆりちゃん!」



再びひょっこり顔を出してくる奏多。



「お待たせ。帰ろ」


「うん!」



そっと手を繋いで教室を出た。




「まったく…終わったかどうか確認してから入ってきなさいって、何度も言ってるでしょ。笑われるこっちの身にもなってよ」


「あはは。ゆりちゃんに早く会いたくて、つい…」


「そんな言葉で騙されないからね」


「…すみません」



バシッと肩に一発くらわすと、しょぼんとする奏多。



反省しなさい。




「愛の証拠だと思うんだけどな…」


「はいはい」




……反省しなさいってば。



そんな嬉しいこと言わないでいいから。
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