好きとごめんのその先に


扉を開けてすぐ。



「おはよう!!」



奏多の満面の笑みが目の前に飛び込んできた。



「おはよう」



駆け寄って奏多の元へ。




意外にも似合っている全身モノトーン。



奏多のそんな私服なんてもう見慣れているのに、今日はなんだか一段とかっこよく見えたりして。



いつもと同じはずなのに違うような、そんな変な感じにわたしの心が踊る。





「今日のゆりちゃんかわいいー。髪がくるんってなってる!」



そう言ってふいに髪を触ってくる奏多。



一瞬胸が跳ねた。




「ね、寝癖を直すついでに巻いただけ!」


「ふーん?」



早口でわたしが言うと、奏多は意味深げな笑顔。



…本当は少し気合いが入りました、なんて絶対に言ってやらないんだから。





「まぁいいや、行こ!」


「うん」



奏多の言葉を合図に、自然と手が繋がれて並んで歩き出した。
< 157 / 428 >

この作品をシェア

pagetop