好きとごめんのその先に


並木道を抜けて、通い慣れた校舎。



校門に立つ大きな桜は、もうちらほら咲き始めている。



…入学式の頃には、散ってしまうのかな。



なんてことを考えるのは、3年前のその日は満開だったから。



あの華やかしい日に、奏多はわたしの前にいた。



わざわざここまで、“おめでとう”って言いに来てくれたんだっけ。



あの時の奏多の笑顔も、満開だった。




「懐かしいな…」



そう1人呟き、下駄箱へ。





靴を履き替え、教室へと向かう。



廊下にいる生徒たちはみんな、携帯を片手にざわざわ。



その視線がわたしに向けられていると感じるのは、きっと自意識過剰かな。




それ以上特に気にすることもなく、自分のクラスへと歩いた。
< 301 / 428 >

この作品をシェア

pagetop