好きとごめんのその先に


「…じゃ、この話はもう終わりってことで!」


「…え?」



突然、ぱっと雰囲気を変えた奏多。



さっきまでの悍ましい表情から180度一転、いつもの無邪気な笑顔。



「ゆりちゃんだって俺だって、望んでこんな状況にいるわけじゃないんだ。俺たちは俺たちなりの恋愛をしているんだよ」


「……」

「……」

「……」



奏多の言葉に、気まずそうなみんなの口が開かない。



「もしまだこの話をする人がいたら、今度は俺が許しませんからね!」



そう言って、みんなに向かってにっこり笑った。



……さっきの冷たい表情よりも、そっちの方が怖いと思ったのは、きっとわたしだけではないはず。







「ゆりちゃん、行くよ」


「え!?」



ふいに左手を掴まれた。



「行くって、どこに…!?」


「いいから」



みんなの困惑の視線が集まる中、問答無用で引っ張られる。




教室を出る間際に見えたエナちゃんは、何かを悟ったように微笑んでいた。
< 321 / 428 >

この作品をシェア

pagetop