好きとごめんのその先に


ブブブ…



ポケットの奥で、携帯が震えた。



先生にバレないよう、机の下で確認する。



“目が赤いけど、どうしたの?”



そう送られてきたメールの差出人はエナちゃん。



…言われるまで気付かなかったけど、そういえば目が重たいな。




“昨日夜更かししちゃって、ちょっと寝不足なの”



そう打って、返した。



…別に、馬鹿正直に出来事を話す必要はない。



例え親友でも、こんな身の上話はきっと理解してもらえないだろうし…





…いろいろ考えていると、なんだか急激に眠くなってきた。



本当に寝不足だからなぁ…



自然と体の力が抜け、机に突っ伏せる。




…全部、夢だったらいいのに。


忠見さんとの結婚のことも、奏多を悲しませたことも、全部なかったことにしたい。




そう思ったのを最後に、あっという間に周りの音が聞こえなくなった。
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